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データセンターの騒音問題とは?現状と課題を解説

近年、クラウドサービスの普及やAI(人工知能)技術の急速な進化に伴い、データセンターの建設需要が拡大しています。かつては郊外や工業団地に建設されることが多かったデータセンターですが、通信の低遅延化や用地不足を背景に、都市部での計画が増え、居住エリアに近い事例も見られます。
 
それに伴い、深刻化しているのが「騒音問題」です。
 
「24時間稼働する設備の音が近隣から苦情にならないか心配だ」
 
「非常用発電機のテスト運転時の騒音はどう対策すればいいのか」
 
このような不安をお持ちの設備担当者・設計者の方も多いのではないでしょうか。データセンターは社会インフラとして不可欠な施設ですが、ひとたび騒音トラブルが発生すれば、施設の稼働制限や企業のブランド毀損といった重大なリスクにつながりかねません。
 
本記事では、データセンターにおける騒音問題の現状と背景、具体的な騒音源の特徴、そして防音対策が求められる理由について、騒音対策の専門家である私たち株式会社ブルアンドベアが詳しく解説いたします。これからデータセンターの建設や改修を計画されているみなさまの、リスク管理の一助となれば幸いです。

都市型データセンターと騒音問題の現状

◾️都市型データセンターの増加背景
デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、データ通信量は年々増加しています。これに対応するため、データ発生源に近い場所で処理を行い通信遅延(レイテンシ)を抑える「エッジコンピューティング」の需要が高まっています。
その結果、従来のような郊外型の大規模施設だけでなく、都市部の住宅地や商業地域に近接した「都市型データセンター」の建設が増えています。
 
◾️周辺環境の変化による騒音リスク
工業専用地域であれば多少の稼働音は許容される場合もありますが、住宅が隣接するエリアでは状況が全く異なります。
静かな住環境を求める近隣住民にとって、データセンターから24時間絶え間なく聞こえてくる「ブーン」という低周波音や、定期点検時の発電機の騒音は、大きなストレス要因となります。特に夜間は周囲の環境騒音(暗騒音)が下がるため、データセンターからの稼働音が一層際立ち、睡眠妨害などの苦情につながりやすくなります。

近隣住民との間で発生しやすい騒音トラブル

データセンターの騒音トラブルには、大きく分けて「定常的な騒音」と「突発的な騒音」の2つのパターンがあります。
 
◾️24時間続く「定常的な騒音」
サーバー冷却のために常時稼働している空調室外機や冷却塔(クーリングタワー)からの騒音です。音の大きさ自体はそれほど大きくなくても、「24時間止まることなく鳴り続ける」という性質が、近隣住民の心理的負担を増幅させる原因となっています。
また、これらの機器から発生する「低周波音(ブーンという低い唸り音)」は、高周波の騒音源に比べて遮音しにくく、室内にいる住民に圧迫感や不快感を与えます。低周波音は一般的な防音壁では防ぎにくいため、専門的な対策が求められます。
 
◾️定期点検時などの「突発的な騒音」
非常用発電機の負荷試験運転などで発生する騒音です。頻度は年1回の総合点検等に合わせて実施されることが多いですが、その音量は極めて大きく、広範囲に影響を及ぼす可能性があります。
「たまにしか鳴らないから大丈夫」と油断していると、たった1回の試験運転で近隣からの通報や苦情が相次ぎ、施設運営に大きな支障をきたすケースも少なくありません。

データセンターの主な騒音源と騒音レベル

では、具体的にどのような設備が騒音源となっているのでしょうか。代表的な騒音源とその特徴を見ていきましょう。

◾️空調設備(空調室外機・チラー・冷却塔)
IT機器は大量の熱を発するため、強力な冷却システムが不可欠です。

・空調室外機・空冷チラー: 建物の屋上や地上に多数設置されます。ファンが回転する「風切り音」と、コンプレッサーの「振動音」が混ざり合い、複合的な騒音を発生させます。
・冷却塔(クーリングタワー): 水冷式の冷却システムで使用されます。ファンの回転音に加え、水が循環する音も発生します。
・騒音レベルの目安: 機器の至近距離で約70dB〜90dB(※無響室、距離など測定条件や機種により変動)。さらに機器は数十台、数百台と設置されるため、台数が増えるほど敷地境界の騒音レベルが上がりやすくなります。
 
これらの機器は屋上に設置されることが多く、遮るものがないため音が遠くまで拡散しやすい問題があります。
 
◾️非常用発電機(ガスタービン・ディーゼルエンジン)
停電時にサーバーへ電力を供給するバックアップ電源です。
 
・特徴: 巨大なエンジンやタービンを回すため、ジェット機や大型トラックのエンジン音に近い騒音が発生します。また、給排気のために大きな開口部が必要であり、そこから音が大きく漏れ出します。
・騒音レベルの目安:機器の近傍(1m程度、未消音時)で約100dB〜110dB(自動車のクラクション〜ガード下の通過音レベル)。
 
非常用発電機は、災害時だけでなく消防法関係の点検の一環として定期的な運転確認が求められます(方法・周期は条件で変わります)。したがって、「使わないから対策しなくていい」というわけにはいきません。

低周波音という見えにくい問題

データセンターの騒音問題を語る上で避けて通れないのが、低周波音の問題です。

◾️低周波音とは
低周波音とは、一般的に20~100Hzほどの低い周波数の音を指します。人間の耳には聞こえにくい、あるいはほとんど聞こえない音ですが、体に振動として感じられることがあります。「ブーン」「ゴーッ」といった重低音として感じられることもあります。データセンターでは、空調設備のコンプレッサーや非常用発電機のエンジンなどから発生します。

◾️低周波音の特性
低周波音には、通常の騒音とは異なる特性があり、これが対策を難しくしています。

・壁や障害物を透過・回り込む:波長が長いため、一般的な防音壁では効果が限定的
・遠くまで届きやすい:空気中で減衰しにくく、比較的遠方にも影響が及びます。
・測定値以上に不快:騒音計の数値が基準値以内であっても、「頭が重い」「圧迫感がある」といった訴えが多い

低周波音は、通常の騒音規制の対象外となることが多いのが現状です。環境省は「低周波音問題対応の手引書」で参照値を示していますが、法的な基準値ではなく目安に過ぎません。そのため、騒音計の数値上は基準を満たしていても、低周波音による苦情が収まらないというケースが少なくありません。

防音対策の重要性

データセンター事業における騒音対策は、単なる「近隣への配慮」にとどまらず、事業継続性(BCP)に関わる重要な経営課題です。具体的には、以下の3つの観点から対策が求められます。
 
◾️騒音規制への対応
目標値としては、環境基本法に基づく「騒音に係る環境基準(例:類型AA地域で昼間50dB以下、夜間40dB以下)」がひとつの目安となります。
これに加え、実際の規制としては「騒音規制法」や各自治体の条例により、敷地境界での規制基準が定められています(対象地域・対象施設に該当する場合。区分や時間は地域により異なります)。基準を超過して周辺の生活環境を損なう場合、自治体から改善勧告・改善命令が出されることがあり、命令違反には罰則も規定されています。
 
◾️企業イメージへの影響
SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営が重視される現代において、地域環境への配慮を欠いた施設運営は、企業の社会的信用を大きく損ないます。
 
◾️安定した施設運営への影響
騒音トラブルが深刻化すれば、運用条件の見直しや追加対策を求められる可能性があります。最悪の場合、運転時間の制限を余儀なくされ、24時間365日の安定稼働が商品価値であるデータセンター事業にとって、著しいサービス価値の低下につながります。
 
このように騒音対策は、法規制、企業評判、施設運営のすべてに影響する、避けては通れない経営課題です。だからこそ、計画段階から確実な対策を講じることが重要と言えるでしょう。

まとめ

今回は、データセンターを取り巻く騒音問題の全体像について解説しました。
 
・都市型データセンターの増加により、騒音リスクが高まっています。
・24時間続く空調音と、突発的な発電機音の2つの対策が必要です。
・建設後の対策は困難なため、計画段階からの対策が不可欠です。
 
私たち株式会社ブルアンドベアは、「騒音を抑え、熱を逃がす」高度な技術で、データセンターの騒音問題をサポートしています。
 
特に、私たちの主力製品である「大型サイレンサー」は、非常用発電機などの大きな騒音源に対し、空気の流れ(通気・冷却性能)を損なうことなく、高い消音効果(当社試験条件で最大40dB程度の減衰)を発揮します。非常用発電機の吸気口・排気口に当社の大型サイレンサーを設置し、敷地境界地点に対して騒音対策を行っています。
「敷地境界での騒音値をクリアできるかシミュレーションしたい」
「限られたスペースで最大限の消音効果を出したい」
そのような課題をお持ちの方は、ぜひ一度、実績豊富な私たちにご相談ください。現地調査から設計、施工まで、貴社の施設に最適な防音ソリューションをご提案いたします。

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