コラム
非常用発電機の低周波騒音対策|なぜ発電機の音は対策が難しいのか
データセンターや病院、大規模商業施設などには、停電時に電力供給を維持するための非常用発電機が設置されています。この設備は普段は静かですが、定期的に実施される試験運転の際に、周囲に響き渡るほどの大きな騒音が発生するため、近隣との間でトラブルになるケースがあります。
「年に数回の試験運転で、近隣住民から苦情が寄せられた」
「防音対策を行なっているが、うまく効果が出ない」
施設管理のご担当者さまから、こうしたご相談をいただくことは少なくありません。
非常用発電機の騒音は、通常の空調設備などとは異なる特性を持っています。なかでも非常用発電機が発する低周波音は、一般的な防音壁だけでは十分に抑えることが困難です。
本記事では、非常用発電機が発する騒音の特性、対策が難しい理由、そして有効な解決策について解説します。
騒音対策の専門である私たち株式会社ブルアンドベアの知見をもとに、具体的な対策の考え方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
騒音対策の専門である私たち株式会社ブルアンドベアの知見をもとに、具体的な対策の考え方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
非常用発電機の騒音とは?
非常用発電機は、災害や停電など、いざという時に確実に稼働する必要があるため、消防法に基づく点検制度の一環として定期的な試験運転が必要です。しかし、この試験運転時の騒音が非常に大きく、近隣との間で騒音問題に発展するケースがあります。
通常の空調室外機の騒音が60〜70dB程度であるのに対し、ディーゼルエンジン式の非常用発電機は機器の近傍(未消音時)で約100dB〜110dBに達することがあります。これは、自動車のクラクションやガード下で電車が通過する時の音に相当するレベルです。
低周波音の特徴
非常用発電機の騒音対策を困難にしている要因のひとつが、低周波音を多く含むという点です。
低周波とは一般的に100Hz以下の周波数を持つ音波です。「ブーン」というような重低音で、耳にうるさい騒音ではありませんが、圧迫感や振動として伝わります。工場や大型車両のエンジンなど、さまざまな騒音源があり、近年は低周波に関連する苦情が増加傾向にあると言われています。
以下は、低周波の主な特徴です。
以下は、低周波の主な特徴です。
1.空気中で減衰しにくい
高い周波数の音は距離とともに比較的早く弱まりますが、低周波音は空気中での減衰が小さく、数百メートル離れた場所まで到達することがあります。試験運転がわずか数十分であっても、広い範囲の住民に影響が及ぶ可能性があります。
2.壁や障害物を回り込む
低周波音は波長が長いため、壁や障害物の端を回り込んで裏側にまで伝わります。こうした現象を「回折(かいせつ)」といい、一般的な防音壁が中〜高周波音に10〜15dBの低減効果を発揮するのに対し、低周波音に対してはわずか数dBしか低減できないこともあります。「防音壁を建てたのに苦情が来た」というケースは、この回折の影響が考えられます。
低周波音は波長が長いため、壁や障害物の端を回り込んで裏側にまで伝わります。こうした現象を「回折(かいせつ)」といい、一般的な防音壁が中〜高周波音に10〜15dBの低減効果を発揮するのに対し、低周波音に対してはわずか数dBしか低減できないこともあります。「防音壁を建てたのに苦情が来た」というケースは、この回折の影響が考えられます。
3.測定値以上に不快に感じられる
一般的な騒音測定では、低い周波数の音ほど数値が小さく出る傾向があります。そのため、騒音計の数値が規制基準内であっても、低周波音に対しては「頭が重い」「圧迫感がある」「なんとなく気分が悪い」といった不快感を訴える人が少なくありません。数値だけでは測りきれない問題が、低周波音にはあると言えるでしょう。
非常用発電機の騒音対策が難しい理由
前章で述べたような理由から、低周波音を含む非常用発電機の騒音対策は一筋縄ではいきません。対策を難しくしている主な要因は、次の3つです。
1.防音壁だけでは抑えきれない
騒音対策は、騒音源を防音ボックスや防音壁で囲い込む方法が一般的です。この方法は、中〜高周波の騒音にはほとんどの場合一定の効果を発揮します。ところが、低周波音は壁を回り込んでしまう性質があるため、壁を設置するだけでは十分な効果が得られない場合が多いです。
2.給排気のための開口部を設ける必要がある
ディーゼルエンジン式の発電機は、稼働時に大量の空気を必要とし、高温の排気ガスも排出します。そのため給気口・排気口を確保しなければならず、この開口部が最大の音漏れ経路になります。いくら壁を厚くしても、開口部から騒音が漏れ出せば対策の効果は大幅に削がれてしまいます。
3.低周波音に対する明確な法規制がない
騒音規制法や自治体の条例は、主に中〜高周波の「一般的な騒音」を対象としています。低周波音については、環境省が「低周波音問題対応の手引書」で参照値を示しているものの、法的拘束力のある基準ではありません。「どこまで対策すれば十分か」の判断基準がなく、人によって感受性も異なるため、苦情が出るたびに追加対策を求められコストが膨らむケースも少なくありません。
つまり非常用発電機の低周波音は、「物理的に防ぎにくい」「開口部を塞げない」「制度的な指針が乏しい」という三重の課題を抱えています。騒音対策では、単に「壁で遮る」だけではなく、換気性能を損なわずに音のエネルギーそのものを減衰させる仕組みが求められるのです。
大型サイレンサーという解決策
こうした「低周波音の回折」と「開口部からの音漏れ」という2つの課題に対して、私たち株式会社ブルアンドベアが提案するのが、大型サイレンサーです。
大型サイレンサーは、もともと非常用発電機の騒音問題を解決するために開発された製品です。従来の防音壁だけでは低周波音を十分に抑えられない。かといって、発電機を完全に密閉することはできない。この難題に対し、私たちは「壁で遮る」のではなく「空気の通り道の中で音を消す」というアプローチに着目しました。
大型サイレンサーの最大の特徴は、空気の流れを確保しながら、音エネルギーだけを効率的に吸収・減衰させる点にあります。厚みのある吸音パネルを複数列配置した構造で、パネル間の通路を空気が自由に通過できる設計です。空気がサイレンサー内部を通過する際に、音エネルギーが吸音材に吸収され、大幅に減衰されます。
1.高周波から低周波まで幅広く対応
吸音パネルの厚みと配列を最適化することで、ファン音のような高周波成分だけでなく、エンジン振動由来の低周波成分にも効果を発揮します。
2.通気性と冷却性能を維持
空気の流路が確保されているため、発電機が必要とする給気・排気の機能を妨げません。換気性能を保ちながら、高い消音効果を実現できます。
3.当社試験条件で最大40dBの減衰
無響室での性能試験において、サイレンサー単体で40dBの減衰(音エネルギーにして1万分の1)が実証されています。さらに防音壁と併用すれば、遮音と吸音の相乗効果でより大きな騒音低減も期待できます。
4.モジュール構造で柔軟な設計が可能
高さ3mを超えるパネルを組み合わせる構造で、現場の条件に合わせた設計が可能です。限られたスペースにも対応できるため、既存施設への後付け設置にも適しています。
つまり大型サイレンサーは、非常用発電機の騒音対策における「防音を強化したいが、開口部は塞げない」というジレンマを解消するために生まれた、「空気の流出入を妨げずに騒音だけを減衰させる特殊なサイレンサー」なのです。
まとめ
本記事では、非常用発電機の騒音対策がなぜ難しいのか、そして有効な解決策について解説しました。
非常用発電機の騒音は「たまにしか鳴らない」からこそ、対策が後回しにされがちです。しかし、たった1回の試験運転で近隣との信頼関係が損なわれるケースも少なくありません。問題が顕在化する前に、早めの対策をご検討されることをお勧めします。
非常用発電機の騒音でお悩みの方、低周波音対策にお困りの方は、ぜひ一度ブルアンドベアにご相談ください。現地調査による騒音測定から、最適な対策プランのご提案、施工、効果検証まで一貫してサポートいたします。
大型サイレンサーで、確実な騒音対策を
空気の流れを妨げずに騒音だけを減衰させる——非常用発電機の騒音対策から生まれた大型サイレンサー。
データセンターや大規模施設の防音設備として、確かな実績を積み重ねています。
製品の詳細や導入事例は、下記ページをご覧ください。