愛知県豊橋市・精密機器工場のプレス機騒音対策事例|天井まで囲う防音室で作業環境を改善
目次
課題となっていた工場全体に響くプレス機の騒音
工場内は、プレス機のあるエリアだけでも横約80m・奥行き約30mほどのかなり広い空間で、同じエリア内の中央付近には手作業を行うエリアがありました。工場内のほかの設備は比較的静かでしたが、プレス機の音は非常に大きく、工場全体に響き渡ります。
最初の測定では、プレス機の周辺で最大102.2dBを記録していました。これは、電車が通るときのガード下に相当する音の大きさです。そのため、作業される方はイヤーマフや耳栓が手放せない状態だったそうです。
一般的に、プレス機の騒音には大きく2つの傾向があります。
-
衝撃音が断続的に続く
金型が材料を打ち抜くたびに、「ドン」「バン」といった大きな音が断続的に発生。連続音よりも耳につきやすい。 -
中低音から高音まで含む幅広い音域
125Hz〜500Hzの中低音と、1kHz〜4kHzの金属的な高音が同時に発生する。周波数の幅が広い。
このように、断続的な衝撃音と幅広い周波数帯の両方に対応する必要があるため、プレス機の防音には総合的な対策が求められます。防音工事の中では、難易度の高い部類といえるでしょう。
今回の工場では、近隣からの苦情などは寄せられていませんでしたが、大きな騒音をそのままにしておくと、騒音性難聴などの健康リスクにつながるおそれがあります。工場で働く方の健康を守るためにも、作業環境の改善が求められていました。
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第1期:ご予算に合わせた「部分囲い」での対策
しかし、その後にある課題が発覚しました。
天井を含めた全面囲いへ是正し、工場中心部でも騒音を改善
是正後の測定では、次のような改善が確認されました。
| 測定地点 | 部分囲い施工後 | 天井全面囲い後 | 減衰量 |
|---|---|---|---|
| 【地点1】防音室の扉前 | 84.8dB | 79.9dB | 4.9dB |
| 【地点2】工場中心部(扉を閉めた状態) | 79.0dB | 73.5dB | 5.5dB |
※工場中心部における、プレス機停止時の暗騒音:68.5dB
部分囲いでは改善が見られなかった工場中心部でも、5.5dBの低減が確認され、耳で違いを感じられる改善につなげることができました。
第2期:信頼をいただき、300tプレスの防音室を全体囲いで施工
防音室には、ブルアンドベアの吸音パネル「QオンVZ」の70mm厚を使用しました。プレス機の騒音には中低音成分も含まれるため、十分な低減効果を得るには、厚みと重量のあるパネルを選ぶ必要がありました。
| 項目 |
第1期 (160tサーボプレス) |
第2期 (300tサーボプレス) |
|---|---|---|
| サイズ |
約4.1m×約3.9m、 高さ約4.1m |
約4.5m×約3.4〜3.9m、 高さ約4.75m |
| 使用パネル | QオンVZ 70mm厚・49枚 | QオンVZ 70mm厚・121枚 |
| 扉 | 両開き扉・片開き扉 | 4枚両引き戸・両開き扉・片引き扉 |
| 換気 | 換気扇付きサイレンサー | 換気扇付きサイレンサー |
| その他 | 天井クレーン用の開口、側面の取り外し可能パネル | 取り外し可能な天井・側面パネル、内部照明 |
施工の工夫|金型交換とフォークリフトの動線を妨げない設計
今回の現場では、設計前に金型交換の方法や点検箇所を細かく確認したうえで、次のような工夫を盛り込みました。
- 天井クレーンで金型交換を行うため、天井にクレーン用の開口を確保(第1期)
- フォークリフトがそのまま出入りできる4枚両引き戸を採用し、間口を大きく確保(第2期)
- 天井パネルは吊り金具で取り外しできる構造とし、大型メンテナンスにも対応(第2期)
- 点検箇所に合わせて、両開き扉・片開き扉・片引き扉や、取り外し可能な側面パネルを配置
このように、「どうやって金型を交換するか」「どこを点検するか」を事前に確認してから設計することが、プレス機の騒音対策では欠かせないポイントです。また、第2期では防音室の内部に照明も設置し、囲われた空間でも作業や点検がしやすいよう配慮しています。
施工後は「目の前で会話ができる」環境に
施工後、施主様からは次のような声をいただいています。
- 防音室の目の前でも普通に会話ができるようになった
- イヤーマフや耳栓を使わずに作業できるようになった
- 耳で分かるほど劇的に変わった
- アルミシルバーのパネルで工場内が明るくなった
測定値として音が下がっていることはもちろん、現場で働く方の「音が気にならなくなった」という体感上の違いも確認することができました。第1期では課題も残りましたが、是正対応を通じて信頼をいただき、第2期を含めた工場内の騒音環境の改善につなげることができました。
プレス機の騒音対策で押さえておきたいポイント
今回の事例を踏まえ、プレス機の騒音対策で重要なポイントを整理します。
- 十分な低減効果を求める場合は、天井を含めた全体囲いを基本にする
- 防音室の直近だけでなく、実際の作業場所でも効果を測定する
- 中低音と金属的な高音が同時に発生するため、十分な厚さと重量のあるパネルを選ぶ
- プレス機の運用そのものを妨げない設計を検討する
- 換気・熱対策はサイレンサー付き換気扇などで防音と両立させる
これらの条件を事前に検討し、現場の運用に合わせた設計に落とし込むことが、防音効果と使いやすさを両立させる鍵になります。
まとめ
プレス機・工場内の騒音対策はブルアンドベアへご相談ください