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愛知県豊橋市・精密機器工場のプレス機騒音対策事例|天井まで囲う防音室で作業環境を改善

今回の記事では、ブルアンドベアの過去の施工事例として、愛知県豊橋市にある精密機器メーカー様の工場で行ったプレス機の騒音対策をご紹介します。
 
プレス機は、工場内でも特に音の大きな設備で、金型で材料を打ち抜くたびに断続的な衝撃音が発生します。今回の現場でもプレス機の稼働音が工場全体に響き、作業する方の負担になっている状態でした。
 
本記事では、第1期の「部分囲い」で得られた教訓と天井の全面囲いによる是正、そして第2期の「全体囲い」施工までの流れを解説します。プレス機をはじめとする工場内の騒音対策を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

課題となっていた工場全体に響くプレス機の騒音

ご依頼をいただいたのは、愛知県豊橋市にある精密機器メーカーの工場です。工場内では金属部品のプレス加工を行っており、プレス機の稼働音が課題となっていました。
工場内には、2台のプレス機がありました。
1台は以前からスチール製の防音ボックスで防音対策がされていた古いプレス機。もう1台は囲いのない160tサーボプレスです。今回ご相談いただいたのは、160tサーボプレスの防音対策でした。

工場内は、プレス機のあるエリアだけでも横約80m・奥行き約30mほどのかなり広い空間で、同じエリア内の中央付近には手作業を行うエリアがありました。工場内のほかの設備は比較的静かでしたが、プレス機の音は非常に大きく、工場全体に響き渡ります。

最初の測定では、プレス機の周辺で最大102.2dBを記録していました。これは、電車が通るときのガード下に相当する音の大きさです。そのため、作業される方はイヤーマフや耳栓が手放せない状態だったそうです。

一般的に、プレス機の騒音には大きく2つの傾向があります。
 

  • 衝撃音が断続的に続く
    金型が材料を打ち抜くたびに、「ドン」「バン」といった大きな音が断続的に発生。連続音よりも耳につきやすい。
  • 中低音から高音まで含む幅広い音域
    125Hz〜500Hzの中低音と、1kHz〜4kHzの金属的な高音が同時に発生する。周波数の幅が広い。

このように、断続的な衝撃音幅広い周波数帯の両方に対応する必要があるため、プレス機の防音には総合的な対策が求められます。防音工事の中では、難易度の高い部類といえるでしょう。
 

今回の工場では、近隣からの苦情などは寄せられていませんでしたが、大きな騒音をそのままにしておくと、騒音性難聴などの健康リスクにつながるおそれがあります。工場で働く方の健康を守るためにも、作業環境の改善が求められていました。

第1期:ご予算に合わせた「部分囲い」での対策

第1期の160tサーボプレスの防音工事は2022年10月に始まりました。
 
当初、装置全面を覆うボックス形状を提案しましたが、ご予算の都合で天井を覆わず、側面も全面ではなく一部を囲う「部分囲い」での防音室設計となりました。
 
全面を覆うボックス形状よりも防音効果は薄くなりますが、施工後の測定では地点1(防音扉の前)の騒音値は84.8dBとなり、検収条件である「防音室の扉前で85dB未満」を数値のうえではクリアすることができました。

しかし、その後にある課題が発覚しました。
天井のない部分囲いであったため、上方へ抜けた音が工場内に回り込み、工場の中心部ではほとんど改善が見られなかったのです。工場中心部では扉を閉めても79.0dBと、対策前と大きく変わらない数値でした。
 
天井を覆わない部分囲いでは、上から抜ける音の影響がある程度残ること自体は、私たちも施工前から予測していました。しかし、その影響が工場全体にどの程度およぶのかを、設計段階で十分に見極められていなかったのは私たちの反省点です。結果として、この時点では根本的な改善にまでつなげることができませんでした。

天井を含めた全面囲いへ是正し、工場中心部でも騒音を改善

この状況を受けて、私たちは「対策の結果に責任を持つべきだ」と判断。天井も含め全面的にサーボプレスを覆う形へと防音室を改修する是正工事を改めてご提案し、実施することになりました。

是正後の測定では、次のような改善が確認されました。

測定地点 部分囲い施工後 天井全面囲い後 減衰量
【地点1】防音室の扉前 84.8dB 79.9dB 4.9dB
【地点2】工場中心部(扉を閉めた状態) 79.0dB 73.5dB 5.5dB

※工場中心部における、プレス機停止時の暗騒音:68.5dB

部分囲いでは改善が見られなかった工場中心部でも、5.5dBの低減が確認され、耳で違いを感じられる改善につなげることができました。

今回の経験から、プレス機のような衝撃音を工場内へ広げないためには、天井を含めた「全体囲い」が必須だという教訓を得ることができました。
 
また、防音室の近くだけでなく、実際に作業する方がいる場所でも測定し、数値的にはもちろん、体感で騒音が低減しているかを確認することも重要であると改めて認識しました。

第2期:信頼をいただき、300tプレスの防音室を全体囲いで施工

冒頭でご紹介した、スチール製の防音ボックスで対策されていたもう1台の古いプレス機。実は防音ボックスの老朽化が進んでおり「劣化して音が漏れている」というお悩みを、第1期の施工当時から伺っていました。
 
そして、2024年2月、古いプレス機を新しい300tサーボプレスへ入れ替えるタイミングで新たな防音対策を実施することになりました。その際、第1期の是正対応を通じて信頼をいただき、2期目の防音室の施工もご依頼いただきました。
第2期は、第1期の教訓を踏まえて最初から天井を含めた全体囲いで計画しています。
 

防音室には、ブルアンドベアの吸音パネル「QオンVZ」の70mm厚を使用しました。プレス機の騒音には中低音成分も含まれるため、十分な低減効果を得るには、厚みと重量のあるパネルを選ぶ必要がありました。

項目 第1期
(160tサーボプレス)
第2期
(300tサーボプレス)
サイズ 約4.1m×約3.9m、
高さ約4.1m
約4.5m×約3.4〜3.9m、
高さ約4.75m
使用パネル QオンVZ 70mm厚・49枚 QオンVZ 70mm厚・121枚
両開き扉・片開き扉 4枚両引き戸・両開き扉・片引き扉
換気 換気扇付きサイレンサー 換気扇付きサイレンサー
その他 天井クレーン用の開口、側面の取り外し可能パネル 取り外し可能な天井・側面パネル、内部照明
防音室のように音源を囲い込む対策では、防音と換気の両立が重要です。
 
囲いの中に熱がこもると機械に負担がかかるため、今回は換気扇にサイレンサー(消音器)を組み合わせ、空気の流れを確保しながら開口部からの音漏れを抑えています。
新設機への入れ替えと同時の施工だったため施工前後の比較測定は行っていませんが、後日、施主様から「目標としていた扉前85dBを達成できている」とご連絡をいただきました。周囲に民家が少ない立地ということもあり、近隣から騒音に関する苦情は寄せられていないと伺っています。

施工の工夫|金型交換とフォークリフトの動線を妨げない設計

プレス機などの防音対策では、日々の運用を妨げない設計も合わせて検討する必要があります。プレス機は金型の交換や点検が頻繁に発生する設備のため「囲ったせいで作業ができない」という事態は避けなければなりません。

今回の現場では、設計前に金型交換の方法や点検箇所を細かく確認したうえで、次のような工夫を盛り込みました。
 

  • 天井クレーンで金型交換を行うため、天井にクレーン用の開口を確保(第1期)
  • フォークリフトがそのまま出入りできる4枚両引き戸を採用し、間口を大きく確保(第2期)
  • 天井パネルは吊り金具で取り外しできる構造とし、大型メンテナンスにも対応(第2期)
  • 点検箇所に合わせて、両開き扉・片開き扉・片引き扉や、取り外し可能な側面パネルを配置

このように、「どうやって金型を交換するか」「どこを点検するか」を事前に確認してから設計することが、プレス機の騒音対策では欠かせないポイントです。また、第2期では防音室の内部に照明も設置し、囲われた空間でも作業や点検がしやすいよう配慮しています。

施工後は「目の前で会話ができる」環境に

施工後、施主様からは次のような声をいただいています。
 

  • 防音室の目の前でも普通に会話ができるようになった
  • イヤーマフや耳栓を使わずに作業できるようになった
  • 耳で分かるほど劇的に変わった
  • アルミシルバーのパネルで工場内が明るくなった

測定値として音が下がっていることはもちろん、現場で働く方の「音が気にならなくなった」という体感上の違いも確認することができました。第1期では課題も残りましたが、是正対応を通じて信頼をいただき、第2期を含めた工場内の騒音環境の改善につなげることができました。

プレス機の騒音対策で押さえておきたいポイント

今回の事例を踏まえ、プレス機の騒音対策で重要なポイントを整理します。
 

  • 十分な低減効果を求める場合は、天井を含めた全体囲いを基本にする
  • 防音室の直近だけでなく、実際の作業場所でも効果を測定する
  • 中低音と金属的な高音が同時に発生するため、十分な厚さと重量のあるパネルを選ぶ
  • プレス機の運用そのものを妨げない設計を検討する
  • 換気・熱対策はサイレンサー付き換気扇などで防音と両立させる

これらの条件を事前に検討し、現場の運用に合わせた設計に落とし込むことが、防音効果と使いやすさを両立させる鍵になります。

まとめ

今回は、愛知県豊橋市の精密機器メーカー様の工場で実施した、プレス機の騒音対策をご紹介しました。
 
騒音対策は、一度の施工で終わりではなく、効果の検証と是正、そして日々の運用への配慮まで含めて成立するものです。工場内の騒音は、働く方の健康と安全に直結する問題でもあります。
 
問題を感じたら早めに現状を把握し、計画的に対策を進めましょう。

プレス機・工場内の騒音対策はブルアンドベアへご相談ください

ブルアンドベアでは、騒音測定による現状把握から、機械の運用に合わせた防音室の設計・施工、施工後の効果検証まで、一貫して対応しています。
 
「まずはどの程度の騒音なのか知りたい」「金型交換があるので囲えるか分からない」といった段階からのご相談も可能です。プレス機をはじめとする工場内の騒音でお悩みのご担当者さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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