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京都府福知山市・鋳物工場のベルトコンベア騒音対策事例|現場環境に合わせてアルミから鉄の防音ボックスへ

今回の記事では、ブルアンドベアの過去の施工事例として京都府福知山市の鋳物工場における製造ラインの騒音対策事例をご紹介します。
 
現場となった工場では、完成した鋳物をベルトコンベアで搬送し、最終的にバケットへ回収する工程で大きな騒音が発生していました。2021年頃にアルミ製の防音ボックスを導入して対策していたものの、フォークリフトやバケットの接触が続いたことで損傷し、最終的には扉の開閉すら困難な状態に陥っていました。
 
本記事では、こうした現場の稼働環境を踏まえ、防音ボックスの素材をアルミから鉄へ変更した改修のポイントを解説します。工場内の騒音対策や、防音設備の破損・老朽化にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

現場で発生していた騒音問題:鋳物がバケットに落ちる音

今回ご相談いただいたのは、京都府福知山市にある鋳物製造工場です。製造ラインで完成した鋳鉄部品はベルトコンベアで運ばれ、最終的に「バケット」と呼ばれる容器へと落とし込まれて回収されます。
 
この回収箇所では、硬い鋳鉄部品が次々と落下して積み重なるため、金属同士が激しく衝突する大きな音が発生していました。こうした金属部品の落下・衝突音は、工場内の騒音の中でも特に大きくなりやすい原因の一つです。
 
一般的に、金属部品を金属製の容器へ落とし込む際の騒音は85〜95dB(デシベル)程度に達すると言われています。90dB前後は「走行中の地下鉄の車内の騒音」「5m以内のブルドーザーの騒音」と同程度とされており、大声を出さないと近くの人との会話もままならないレベルです。
 
労働衛生の観点では、一般に85dB以上が騒音対策の目安とされています。こうした金属同士の衝突音が発生する工程では、作業環境に応じた対策が重要です。

こうした騒音環境を改善するため、2021年頃に工場内の騒音対策をご相談いただき、弊社にて施工を開始しました。
 
現地調査を行った結果、製造ラインの複数箇所に防音ボックスを設置する計画を策定。この時点では、すべて「アルミ製パネル」を用いて防音ボックスを製作しました。
 
アルミは軽量で加工しやすく、錆びにも強いため設計の自由度が高い素材です。そのため、屋内外を問わずさまざまな現場の防音対策で広く採用されています。

3年で発生した想定外の課題:フォークリフトの接触による損傷

導入したアルミ製防音ボックスは、所期の防音効果を十分に発揮していました。しかし設置から約3年が経過した頃、運用面での大きなトラブルが発生します。
 
工場内で稼働するフォークリフトとの接触で、防音ボックスが大きく損傷してしまったのです。
鋳物工場では、重量物である製品や資材を運ぶため、フォークリフトが頻繁に稼働しています。この搬送作業のなかで、フォークリフトの爪やバケットが防音ボックスに何度も接触し、構造体に損傷を与えてしまったのです。
 
損傷は激しく、ボックスの変形によって扉の開閉ができない状態でした。さらに、ボックス内部の吸音面が剥がれ落ち、本来の防音性能そのものが低下してしまう状態になっていました。
防音設備は「防音ができれば成功」というわけではありません。
 
どのような環境であっても長期的に防音性能を維持し続けられるかどうかが重要です。
 
今回のケースでは、音自体の遮断はできていたものの、フォークリフトやバケットとの接触という「現場ならではの物理的な負荷」が当初の想定を上回っていました。
 
単に音を防ぐだけでなく、現場の動線や設備に加わる外力まで緻密に計算して設計することの重要性を、改めて痛感させられた事例となりました。

実施した対策:現場環境に合わせて、素材をアルミから鉄へ

こうした状況を受け、2026年6月に2回目の施工として損傷した2基の防音ボックスの改修を実施しました。
 
今回の改修における最大のポイントは、パネルの主要素材をアルミから頑丈な「鉄(スチール)」へと切り替えたことです。
現場を再調査した結果、鋳物工場の特性上、フォークリフトやバケットの接触リスクをゼロにするのは極めて困難であると判断。軽さや加工のしやすさよりも、「耐衝撃性」を最優先すべき環境であると結論づけました。
 
そのうえで、2基のボックスそれぞれの損傷度合いに応じた改修アプローチをとっています。

① 損傷が比較的少なかったボックス:扉のみ鉄製に交換

ダメージがなかった既存部分はそのまま生かし、破損していた扉のみを頑丈なスチール製扉へと交換しました。再利用できるパーツを残すことで、改修コストを最小限に抑えています。

② 損傷が大きかったボックス:ボックス全体を作り替え

こちらは損傷が大きかったためボックスを解体し、接触リスクの高いフレーム・壁面パネル・扉を中心にスチール製で一新しました。

このほか、今回の改修では現場での使いやすさにも配慮しています。防音ボックスで囲うと内部の様子が見えにくくなるため、どちらのボックスも前回より窓面を広く確保し、作業時の安全確認や視認性を向上させました。また、全面的に作り替えたボックスでは、フォークリフトが入る部分の寸法を前回より広げ、接触そのものが起きにくい構造へと見直しています。

施工時の工夫:重量のある鉄製パネルを、屋内でいかに安全に据え付けるか

防音性能や耐久性の向上はもちろんですが、今回の工事は「施工面」においても鉄ならではの難しさがありました。
 
鉄製のパネルはアルミに比べてはるかに重量があり、人力での運搬・設置は困難です。そのため、工場屋内でのレッカー(小型クレーン)作業が必須となりました。さらに今回の現場は天井高にあまり余裕がなかったため、吊り上げ高さに制約があるなか、周囲の設備と干渉しないよう細心の注意を払って作業を進めました。

また、軽量なアルミと異なり、鉄製パネルは一度床に降ろすと容易に位置の微調整ができません。現場での手戻りを防ぎ、スムーズかつ安全に作業を完了させるため、トラックへの積載順から荷降ろしの手順に至るまで、事前に緻密な段取りを組んで施工に臨みました。

今回採用した仕様の詳細

過酷な現場環境に耐えうる耐久性と、確かな防音性能・コストバランスを両立するため、部位ごとに最適な素材と構造を選定しました。
  • 防音パネル:自社標準パネル「QオンVZ70
    遮音・吸音性能に定評のある、弊社の防音工事における標準仕様パネルを採用しています。
     
  • 躯体フレーム・遮音壁:肉厚スチール構造(耐衝撃仕様)
    骨組みには100×100mm(厚さ6mm)のスチール角パイプを使用し、遮音面には厚さ6mmのスチール板を採用。フォークリフトやバケットとの接触リスクを踏まえた、頑丈な構造としています。
     
  • 出入口:窓付きスチール両開き扉+グレモンハンドル
    扉には窓付きのスチール製を採用。ハンドルには扉を枠へ密着させられる「グレモンハンドル」を用い、扉下部には床とのすき間をふさぐブラシを設置することで、音漏れを抑えています。
     
  • 点検窓:厚さ15mmの超高強度ポリカーボネート
    ガラスではなく、耐衝撃性に優れた15mm厚のポリカーボネートを採用。作業時の安全確認に必要なクリアな視認性を確保しつつ、万が一の接触による割れや破損を防ぎます。
     
  • 天井・窓枠:軽量アルミフレーム(70×70mm)
    直接接触のリスクがない天井部や窓枠まわりには、軽量なアルミ部材を活用。構造全体の重量を抑え、コストの最適化を図りました。
     
  • 内面吸音構造:パンチングメタル保護
    ボックス内部の吸音面は、微細な穴を開けたパンチングメタルでカバー。穴を通して内部の吸音材に音を吸収させながら、表面を金属板で覆うことで、吸音材の剥がれや破損のリスクを抑える構造です。
なお、扉のみ交換したもう1基のボックスについては、既存の鉄板を再利用して取り付けられるよう、新たに下地を設けたうえで、スチール製扉を組み付けています。

鋳物工場の騒音対策は「現場の使われ方」に合わせた素材選びが重要

今回の鋳物工場の事例から得られた教訓は、フォークリフトや搬送機器が稼働するあらゆる製造現場の騒音対策に通じるものです。設備を長持ちさせ、投資対効果を最大化するために押さえるべき5つのポイントをまとめました。

  1. 「音」だけでなく「現場の外力(接触・振動)」を想定する
    単に音を遮断するだけでなく、人や重機の動線、日常的な衝突リスクを事前にシミュレーションして耐久仕様を決定する。
     
  2. 接触エリアには高強度素材(鉄)を配置する
    重量物やフォークリフトが干渉しやすい下部フレームや扉などには、変形や破損に耐えうる堅牢な部材を選定する。
     
  3. 素材の特性を活かし、組み合わせることで耐久性とコストを両立する
    すべてを高強度部材にするのではなく、非接触エリア(天井や上部窓枠など)には軽量・安価な部材を用い、全体コストを抑制する。
     
  4. 生産性や安全確認を妨げない構造(視認性の確保)を織り込む
    遮音性を高めるあまり内部が見えなくなると作業効率や安全性が低下するため、耐衝撃ガラスや大型ポリカ窓で視認性を維持する。
     
  5. 状況に応じた「部分修繕」と「全面更新」の見極めを行う
    老朽化・破損した既存設備を改修する際は、健全なパーツを再利用する部分補修と、再発防止を含めた全体刷新を柔軟に組み合わせる。
防音工事は「施工して完了」ではありません。今回の事例のように、過酷な現場環境や日々の使われ方によっては、設置後に設備が損傷・劣化してしまうケースも十分に起こり得ます。
 
万が一そうしたトラブルが生じた際、現場の状況に応じて「部分補修」や「抜本的な作り替え」などを柔軟に提案してくれるか、そして施工後の保守や改修まで親身に相談に乗ってくれるかどうかも、防音工事業者を選ぶうえで非常に大切なポイントといえるでしょう。

まとめ

今回は、京都府福知山市の鋳物工場で実施した、ベルトコンベアのバケット回収部における騒音対策事例をご紹介しました。改修後の頑丈な防音ボックスは、以前からお付き合いのあるお客様からも「これで安心して作業ができる」と大変喜んでいただくことができました。
 
軽量で錆びにくく、設計自由度の高い「アルミ」は、弊社の防音工事でも標準的に採用している優れた素材です。しかし今回のように、フォークリフトやバケットの接触が避けられない過酷な現場では、頑丈な「鉄」を用いた高強度な防音ボックスが極めて有効な選択肢となります。
 
私たちは今回の事例を通じて、激しい運搬作業を伴う現場では、音そのものだけでなく「接触による損傷リスク」まで見越して計画することの重要性を改めて学びました。今後も現場のリアルな稼働環境にしっかりと向き合い、素材を柔軟に使い分けながら、それぞれの現場にとって真に最適な騒音対策を形にしてまいります。

工場・製造ラインの騒音対策はブルアンドベアへご相談ください

株式会社ブルアンドベアでは、現地での騒音測定や動線確認から、現場の過酷さに応じた素材選定、オーダーメイドの防音ボックス設計・施工・改修までワンストップで承っております。
  • 「他社で設置した防音設備が変形・破損してしまった」
  • 「重機や運搬物が接触しやすい場所の防音に悩んでいる」
  • 「素材を使い分けて、コストを抑えたい」
といった具体的なお困りごとはもちろん、「まずは概算の費用感を知りたい」というご相談も大歓迎です。工場や製造ラインの騒音・設備環境にお悩みのご担当者さまは、ぜひお気軽にご相談ください。