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騒音規制基準と計画時のポイント:データセンター防音計画ガイド

データセンターの建設や改修では、騒音対策の計画が事業継続と地域共生のカギを握ると言っても過言ではありません。発生する騒音に対して適切な対策を講じず、敷地境界での規制基準を超えれば、近隣住民との信頼関係にも直接影響するばかりでなく、ひどい場合は行政指導の対象となる可能性も否定できません。
 
とはいえ、騒音規制は、国の法律と自治体の条例が重なり合う領域でもあるため「自分たちの計画地でどの基準が適用されるのか」を正確に把握するのは簡単ではありません。さらに、数値上は基準内でも夜間の低周波音や住民感情を考慮しなければ、トラブルを未然に防ぐことは難しいのが実情です。
 
本記事では、計画・設計担当者さまに向けて、押さえておきたい騒音規制基準の考え方と、設計初期から組み込むべき防音計画のポイントをわかりやすく解説します。
 

この記事のポイント

  • データセンターの騒音は、騒音規制法や自治体条例にもとづき、敷地境界線での騒音レベルが評価対象となります
  • 24時間稼働の空調設備と、非常用発電機の試験運転は、計画時に特に注意すべき騒音源となります
  • 基準値を満たすだけでなく、夜間音・低周波音・近隣住民の感じ方まで踏まえた計画が求められます
  • 防音対策は後付けではなく、設計初期から設備配置・吸排気経路・防音設備を一体で検討することが重要です

データセンターの騒音対策は、設備の問題にとどまりません。近隣との関係を守り、安定した施設運用を続けるためのリスク管理でもあります。データセンターの騒音問題の背景や全体像については、データセンターの騒音問題とは?現状と課題を解説もあわせてご覧ください。

騒音規制基準の基本と確認ポイント

データセンターの騒音対策を考えるうえで、まず確認したいのが「データセンターが建設される場所にどの騒音基準が適用されるか」です。騒音の基準は全国一律ではなく、地域の用途や時間帯、周辺施設の状況によって変わります。
 
工場や事業場から発生する騒音のうち、指定地域内の特定工場等に該当するものは騒音規制法(昭和43年法律第98号)によって規制されています。同法が定めるのは規制の枠組みであり、具体的な基準値や時間区分は、地域の用途や周辺施設の状況に応じて自治体ごとに条例・告示で定められます。そのため、計画地を管轄する自治体の基準を早い段階で確認し、設計条件に反映させることが必要です。

規制の評価対象となるのは、敷地境界線(施設の敷地と周辺地域との境目)における騒音レベルです。つまり、設備そのものの音の大きさではなく、敷地の外にどの程度音が伝わっているかが評価対象になるということを念頭に置いておきましょう。

また、データセンターでは、送風機や空気圧縮機、冷凍機などのうち一定規模以上のものが、騒音規制法上の「特定施設」に該当する場合があります。該当する設備を設置する場合は、市町村長への届出が必要になることもあるため、こちらも計画の初期段階に確認しておくと安心です。

区域・時間帯別の騒音規制基準の目安

告示「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準」(昭和43年厚生省・農林省・通商産業省・運輸省告示第1号、現在は環境省所管)では、区域と時間帯ごとに、敷地境界線での基準値が定められています。代表的な数値は以下のとおりです。

区域区分 昼間 朝・夕 夜間
第1種区域(静穏が必要な住居系地域) 45〜50dB 40〜45dB 40〜45dB
第2種区域(住居系地域) 50〜60dB 45〜50dB 40〜50dB
第3種区域(住居と商工業が混在する地域) 60〜65dB 55〜65dB 50〜55dB
第4種区域(工業系地域) 65〜70dB 60〜70dB 55〜65dB

時間区分は自治体によって異なりますが、昼間・朝夕・夜間に分けて基準値が設定されるのが一般的です。データセンターは24時間稼働する設備が多いため、昼間だけでなく、夜間の基準を前提に計画する必要があります。
 
また、学校、保育所、病院、図書館、特別養護老人ホームなどの敷地のおおむね50m以内では、通常より厳しい基準が適用される場合があります。計画地の周辺にこうした施設がある場合は、早い段階で確認しておきましょう。
 
※上記の数値は国が示す範囲にすぎません。実際に適用される値は自治体ごとに異なるため、必ず該当する自治体の条例・告示を確認してください。

規制基準を確認するときの注意点

騒音基準を確認するときは、「何dB以下ならよいか」だけを見ていては十分ではありません。実際の計画では、どの場所で、どの時間帯に、どの設備の音が問題になりやすいかまで整理する必要があります。
 
計画段階では、主に次の点を確認しておきましょう。
 
・計画地が騒音規制法の指定地域に含まれているか
・敷地の用途地域や区域区分はどうなっているか
・昼間、朝・夕、夜間の時間区分は自治体でどう定められているか
・敷地境界線のどの地点で評価する必要があるか
・近隣に住宅や、学校・保育所・病院・図書館・特別養護老人ホームなどがあるか
・非常用発電機の試験運転をどの時間帯に行う計画か
・将来的な設備増設後も基準を満たせるか
 
特にデータセンターの敷設において注意したいのは、夜間の基準です。昼間は交通音や生活音に紛れやすい設備音でも、夜間は周囲が静かになるため目立ちやすくなります。24時間稼働する空調設備がある場合は、夜間にどの程度の音が敷地外へ伝わるかを前提に、防音計画を立てることが重要です。

計画段階で押さえておきたい防音設計のポイント

データセンターの防音対策は、建設後に追加するよりも、計画段階から設計に組み込むほうが効果的です。
設備の配置や吸排気の向き、防音壁・サイレンサーの設置スペースは、建物や設備の設計が固まってからでは調整しにくくなり、十分な防音効果が期待できなかったり、設計に手戻りが発生したりすることがあります。

ここでは、データセンターの建設計画の段階で、防音計画で特に押さえておきたいポイントについて考えてみましょう。
 
①音源を住宅側・敷地境界線付近からできるだけ遠ざける
まず検討したいのは、騒音源の配置です。空調室外機やチラー、非常用発電機などの音が出やすい設備は、住宅や学校、病院などの影響を受けやすい施設からできるだけ離して配置することが基本です。音は距離が離れるほど小さくなるため、設備の配置そのものが有効な騒音対策になります。防音壁やサイレンサーを設置する前に、まず「騒音源となる設備をどこに置くか」を検討することがポイントになります。屋上設備の場合も、周辺建物や住宅への音の届き方を踏まえて、設置位置や向きを考える必要があります。

②吸気・排気の向きを受音点に向けない
データセンターでは、空調設備や発電機の冷却・換気のために、吸気・排気の経路を確保する必要があります。ただし、吸気口や排気口は音が外へ出やすい場所でもあります。そのため、吸気口や排気口は、住宅側・学校側・病院側などに直接向けないようにしましょう。特に非常用発電機や大型空調設備では、排気音やファン音が特定方向へ伝わりやすいため、開口部の向きや高さも含めて検討する必要があります。
③防音壁・サイレンサー・消音ルーバーを組み合わせる
防音壁は、音源と受音点の間を遮る有効な対策です。ただし、防音壁だけですべての騒音を抑えられるわけではありません。音は壁の上部や側面を回り込むことがあり、反射音によって別の方向へ伝わる場合もあります。
また、防音を優先して空気の流れを妨げると、設備の性能低下や熱だまりにつながるおそれがあります。通風を確保しながら音を抑えるためには、サイレンサーや消音ルーバーを組み込み、複数の対策を組み合わせることで冷却・換気と防音を一体で考える防音対策を検討してください。
④メンテナンス性・荷重・施工スペースも確認する
防音設備は、設置できればよいというものではありません。将来的な設備更新や増設を想定せずに防音設備を配置すると、後から移設や追加工事が必要になる可能性があります。
設置後に設備の点検や修理ができるか、搬入経路や作業スペースを確保できるかも、計画段階で確認しておきましょう。屋上に防音壁や防音パネルを設置する場合は、建物の荷重制限にも注意が必要です。地上に設置する場合も、車両動線や避難経路、メンテナンス動線を妨げないかを確認しておく必要があります。
防音性能だけでなく、施工性・維持管理性・将来拡張性まで含めて検討しておくことで、長期的に無駄の少ない防音計画になります。

⑤騒音予測・事前測定・施工後の確認までを一連で想定する

設計初期には、設備の音響データや配置情報をもとに、敷地境界線や近隣住宅側での騒音レベルを予測しておくと安心です。計画段階で騒音の伝わり方を確認しておけば、防音壁やサイレンサーの必要性、設置位置、仕様を検討しやすくなるでしょう。

既存施設の改修では、現地測定によって問題となる周波数帯や時間帯を把握することも重要です。どの設備の音が目立っているのか、低周波音が含まれているのかを確認することで、対策の優先順位を決めやすくなります。


また、施工後には実測によって、計画どおりの低減効果が出ているかを確認します。防音対策は「設置して終わり」ではありません。計画、施工、効果検証までを一連の流れとして捉えておくとよいでしょう。


確認項目 計画時に見るポイント
騒音源の配置 空調室外機・チラー・発電機を住宅側や敷地境界線からできるだけ離せるか
吸気・排気の向き 排気口・吸気口が住宅、学校、病院側に直接向いていないか
防音設備の組み合わせ 防音壁、サイレンサー、消音ルーバー、防振対策をどう組み合わせるか
設置・施工条件 荷重、搬入経路、メンテナンス動線、作業スペースを確保できるか
効果検証 騒音予測、事前測定、施工後の実測まで想定しているか

防音計画では、空調室外機、チラー・冷却塔、非常用発電機、排気ダクト・換気口、設備振動などについて、運転時間、音の方向、最大騒音レベル、低周波音、将来増設の可能性を確認します。設備ごとの対策を詳しく整理したい方は、データセンター設備の主な騒音源と効果的な騒音対策もご覧ください。

ブルアンドベアが支援できるデータセンター防音計画

データセンターの防音計画では、騒音規制基準を確認するだけでなく、設備の配置、吸排気経路、周辺環境、将来の増設計画まで踏まえて対策を考える必要があります。ブルアンドベアでは、以下のような工程を一貫してサポートできます。
 
・計画初期のご相談
・現地調査・騒音測定
・防音計画の提案
・防音壁、防音パネル、消音ルーバー、サイレンサーの組み合わせ提案
・施工後の騒音測定・効果確認
 
特に、非常用発電機の試験運転時や、空調設備のように音の低減と換気・排熱の両立が求められる設備では、単に防音壁で囲うだけでは十分な対策にならない場合があります。現場条件に応じて、防音壁、防音パネル、消音ルーバー、大型サイレンサーなどを組み合わせ、通風・排熱を妨げにくい防音対策をご提案します。
 
ブルアンドベアの大型サイレンサーは、非常用電源ルームの騒音対策に向けて開発した防音設備です。空気の流出入を確保しながら騒音を抑えられるため、換気や排熱が重要なデータセンターでも導入しやすい点が特長です。
 
非常用電源ルームだけでなく、空調室外機、チラー、排気ダクト、屋上設備など、データセンター全体の騒音対策についても、現場条件に合わせて対策方法を検討できます。計画段階で騒音リスクを整理しておきたい場合や、既存施設の騒音対策を見直したい場合は、早めに専門家に相談しておくと安心です。

まとめ

本記事では、騒音規制基準の基本と、計画段階で押さえておきたいデータセンターの防音設計のポイントについて解説しました。

  • 騒音の基準は全国一律ではなく、地域の用途、時間帯、周辺施設の状況によって変わります。計画段階では、騒音規制法だけでなく、自治体の条例・告示まで確認しておくことが重要です。
  • データセンター内の設備音そのものではなく、敷地の外へどの程度音が伝わっているかが確認されます。空調設備や送風機などが特定施設に該当する場合は、届出が必要になることもあります。
  • 夜間の稼働音、低周波音、非常用発電機の試験運転音などは、数値上は基準内でも近隣住民が不快に感じることがあります。法令基準だけでなく、実際の聞こえ方や生活環境への影響も踏まえた計画が必要です。
  • 建設後に防音壁やサイレンサーを追加しようとしても、設置スペース、荷重、吸排気経路、メンテナンス動線などの制約が出やすくなります。設備配置や吸排気の向き、防音設備の設置条件は、早い段階で検討しておくことが大切です。
  • データセンターでは、騒音低減だけでなく、冷却・換気・排熱との両立も欠かせません。単一の対策に頼るのではなく、現場条件に応じて複数の防音対策を組み合わせることが効果的です。


データセンターの防音計画は、建設後に対応するものではなく、計画段階から組み込むべきものであり、施設運用におけるリスク管理の一部でもあります。騒音規制基準を満たすだけでなく、近隣環境や将来の設備増設まで見据えて計画することで、稼働後のトラブルや追加工事のリスクを抑えやすくなります。

計画中のデータセンターで騒音対策に不安がある場合は、早い段階で専門会社に相談し、現場条件に合った防音計画を整理しておきましょう。

データセンターの防音計画・騒音対策のご相談はブルアンドベアへ

ブルアンドベアでは、データセンターや大規模施設の騒音対策について、現場条件に合わせたご提案を行っています。防音壁、防音パネル、大型サイレンサーを組み合わせ、騒音低減と設備性能の両立を目指します。
 
「計画中のデータセンターで騒音規制基準を満たせるか不安」
 
「非常用発電機の試験運転音を抑えたい」
 
「空調設備の吸排気を妨げずに防音したい」
 
「近隣説明に備えて、事前に防音計画を整理したい」
 
このようなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。計画段階でのご相談から、現地調査、対策案の検討、施工、施工後の騒音値実測までフルサポートいたします。